旅行前にはその土地にまつわるお話や、土地の歴史を知ることができる本を読むのがお馴染みになっています。
前回のウィーン滞在は初夏の気持ちの良い気候だったので、何冊か本を持って行って、カフェや公園で読書をしたりしていました。
お気に入りだったのは、ドナウパーク。のんびり過ごすためのベンチや椅子がたくさんあって、緑が気持ちよかった!
こんなふうに、寝そべりながらゆったり外気浴と読書を楽しんでいました。ちょっと現地人気分。
観光に疲れた時も、部屋のカウチでゆったり読書していました。
読む本は日本から持ってきたもののほか、現地で手に入れたフリーペーパーや雑誌も楽しかったです。特にフリーペーパーって、ローカル感が楽しいんですよね。
自宅で読書をすると、猫が遊んで欲しくて身体の上に乗ってきたり、本を齧ったりするので久しぶりのゆっくり読書タイムでした。(とはいえ、猫がいない生活はやっぱり寂しかった!)
さて今回は読書ログも兼ねて、オーストリアをより楽しむための書籍をご紹介します。
不思議なウィーン 街を紐解く100のこと/河野純一
今のウィーンに繋がる文化や歴史背景を知れる本。
1982年に月刊ウィーンという雑誌に、2002年から2016年に連載していた記事をまとめ直した本だそうです。
ちなみに月刊ウィーンでは「ウィーン知らなくてもいい話」というタイトルで連載しているそうで、タイトル通り、ウィーン小ネタ集といった感じです。
ガイドブックよりもディープで、街歩きが好きな人には気になるトピックスが多いと思います。
ウィーンの街中や公園に置いてある体重計が設置された背景や、ウィーンの至る所にある水飲み場など、街歩きをしていて気になることはありませんか?
そんな気になるトピックスを1トピック3ページくらいのボリュームで解説しています。
もちろんオーストリアらしいコーヒーの種類やウィナーシュニッツェルの解説などあります。ガイドブックと違って、ディープな解説を楽しめますよ!
衣食住、街、交通、音楽、建築、自然など街歩きで気になったことは大体この本で解説してくれているので、街歩きのお供にももってこいです。
余談ですが、「ウィーン知らなくてもいい話」は今も月刊ウィーンで連載中とのことです。
月刊ウィーン、読んでみたいな。
ハプスブルク家の食卓/関田純子
タイトル通り、ハプスブルク家って何を食べていたの?という本です。
マクシミリアン一世、マリア・テレジア、フランツヨーゼフなどはプルブルク家の皇帝たちにまつわる食のエピソードが満載です。
各皇帝ごとの好物や、その時代に食べられていた料理や商品を歴史的背景と一緒に知ることができます。
これを読んでいくと、ホーフブルク王宮にある、ウィーン銀食器博物館をより楽しく見学できますよ!博物館では本書で紹介されている、エリザベート皇妃が飲んでいた肉ジュースを作るためのプレスマシーンも展示されています。笑
ちなみに、ウィーン名物のウィナー・シュニッツェルやアプフェル・シュトゥルーデルは異国から入ってきてオーストリア流にアレンジされて定着したってご存知ですか?
こういった外国からの交流から、オーストリア文化に融合された料理や経緯も知ることができます。
個人的には、上記のようなことが綴られていた宮廷料理の舞台裏の章が面白かったです。
冷蔵設備のない当時に大量の宮廷食材をどう保存したのかとか、宮廷料理人の種類とかトリビアが満載です。
皇妃エリザベート/カトリーヌ・クレマン
シシィ美術館に行くなら、予習がてらこちらの本をどうぞ!
シシィ美術館のみならず、王宮、博物館、美術館、庭園、カフェなど至る所にシシィの影があるので、読んでおけばウィーン観光を楽しめること間違いなしです。
この本は世界史の資料集のような感じで、ペラペラとめくって気になる部分を流し読みするだけでも面白いです。
シシィ美術館やホーフブルク宮殿・シェーンブルン宮殿は日本語のオーディオガイドがありますが、展示品の解説はドイツ語か英語のみ。かつ写真撮影はNGでかなり混み合うので、もう少しじっくり見たかった!というものを後からこの本で補完することもできます。
本書は写真や肖像画などの図が豊富なのですが、個人的には当時の写真をじっくり見れる点が良いです。
皇妃エリザベート/藤本ひとみ
こちらはエリザベートの人生を物語調で綴った本。
サクサク読みやすく、エリザベートについてざっくり知りたい!という方にはおすすめです。
400ページくらいなので、ウィーンに行く飛行機の中でもサクッと読めます。
ウィーン関連の本は小説という形ではあまり読んだことがなかったのですが、小説スタイル読むとあらためて波瀾万丈の人生だなぁ…と感じます。
ただあまりに淡々と進むので、シシィの人となりを知りたい!という方にはちょっと物足りないかもしれません。
ウィーン菓子図鑑/小菅陽子
私は帰国後に購入して読んだのですが、これウィーンに持っていきたかったー!!「こんなお菓子があったの?食べたかったー!」と思うお菓子が盛りだくさん…。食いしん坊としては悔しい限りです…。
というのも、ちょっと街に慣れてくるとカフェやレストランのオーダーがだんだんお決まりになってきてしまうんですよね。
カフェに行けばショーケースを眺めてから注文できるけど、味の想像がつかないものは尻込みしがち…。この本があれば、もっとチャレンジできたのになぁ…と今更ながら思っております。
もちろんレシピ本なので、自分で作ってみるという手もあるのですが、事前に読めれば日本では入手しづらいスパイスや製菓用品も買えたのになぁ…。
ちなみにウィーンでは製菓洋品店というものは存在せず、大きいスーパーやホームセンターで製菓用品を見かけることが多かったです。日本でいう富岡商店みたいのがあったら楽しそうなのになぁ…。
ちなみにクグロフ型はどのスーパーでも製菓エリアで売っていました。欲しかったけど嵩張るので購入は断念して帰国してしまいました。この本をめくるたびに、買っておけばよかったな…とプチ後悔。
ベートーヴェン、21世紀のウィーンを歩く
タイトル通り、ベートーヴェンが21世紀に蘇り現代のウィーンを歩くというストーリー。
ベートーヴェンがウィーンの街を観光したり、カフェに行ったり、ホイリゲでワインを飲んだり、一緒に観光している気分で読むことができる、小説仕立てのウィーンガイドです。
ところどころウィーン観光のコラムが挟まれていて、それを読むのも面白い!
私は音楽にはあまり詳しくはないのですが、ベートーヴェンをもっと知りたい!と思うきっかけにもなった本です。やっぱりウィーンに行くなら、音楽や音楽家のことを知っていた方が楽しいですからね。
この本はいい意味でフランクにベートーヴェンやウィーンのことを説明しているので、楽しく読み進めることができました。
読んだ後はベートーヴェンもこの公園を歩いたのかしら…なんて思いながら散歩してみたり。
滞在中にベートーヴェンのお墓も行きたかったのですが、行けずじまいになってしまったので次回のお楽しみにとっておきます。
ウィーン世紀末文学選
世紀末のウィーンはさまざまな分野が華開いた時代。そんな時代を代表する作家たちの短編が16話収録されています。
あまりウィーンの作家について詳しくないので、実はとりあえず手に取ってみた本です。
感想としては、変な小説が多いなぁって感じ。笑
あとは訳文の文体が古めな感じで、ちょっと読み進めるのに苦労しました。
私が気に入ったのは「すみれの君」と「オーストリア気質」というお話。恋愛ものとコメディで読みやすかった!笑
文学には詳しくないので、文章から時代を読み取る…なんてことはできないのですが、なんとなく世紀末の混沌感というか、終末感みたいなものを感じる作品が多かったように思えます。
あとは挿絵がどれも素敵でよかったです。
おまけ〜ウィーンがちょこっと出てくる本〜
ウィーンに行くなら、ウィーンに関わりの深い人物やエピソードが描かれている本もおすすめです。
残酷な王と悲しみの王妃2
第一章でエリザベートの従兄弟にあたる、バイエルン王ルートヴィヒ二世について綴られています。この本は学生時代にドイツ旅行に行くにあたり、ルートヴィヒ二世について買った本です。
ルートヴィヒ二世・エリザベートの関係性って物語にしやすいのか、どちらが主役の映画や小説でも必ず2人が出てきます。この本ではルートヴィヒ二世について綴りながらも、同じヴィステルバッハ家の血が流れているということでエリザベートとの共通点や比較をしながら解説されています。
エリザベートもルートヴィヒも似たもの同士というか、当時は理解されなかったけど今や大勢の人に愛されているといったとことで数奇な運命だなあと思います。
ヴィステルバッハ家自体もかなり面白そうなので、もう少し掘り下げて勉強したいです。
ベルサイユのバラ
ハプスブルク家といえば、マリー・アントワネットですよね。
私はなぜか小学生あたりから、フランス革命やマリー・アントワネットを題材にしたお話が大好きで、ベルサイユのばらは中学生の時に市営図書館で読んでいました。
ベルばらはもちろんフィクションですが、それでも十分マリー・アントワネットについて知ることができます。
幼少期やウィーンで過ごしている描写は少ないのですが、シェーンブルン宮殿に行くなら読んでいくと聖地巡礼ができて楽しいです。
もちろん、単純に漫画としても面白いのでいろいろな人に読んでほしい…!
そういえばパリには一度行ったことがあるのですが、あまりマリー・アントワネットをモチーフにしたお土産を見かけなかった気がします。ウィーンではマリーの母であるマリア・テレジアやエリザベートがどのお土産屋さんにも並んでいるのに、なんでなんだろう。
皇帝ナポレオン
ベルばらと同じ、池田理代子先生の作品です。ナポレオンもオーストリアとは縁が深い人物ですよね。
皇帝ナポレオンは全12巻とボリュームがありますが、面白くて一気に読んでしまいました。
ウィーンに滞在するシーンも多々あり、シェーンブルン宮殿で過ごすナポレオンを見ておくと、シェーンブルン宮殿の観光が楽しくなるかもしれません。
シェーンブルン宮殿の一室にはナポレオン2世が過ごした、「ナポレオンの部屋」があります。そこに展示されているベッドはナポレオンがウィーン凱旋中に使ったもの。
その他にもベルヴェデーレ宮殿上宮美術館にナポレオンの肖像画があったり、王宮の宝物博物館にはナポレオンとマリー・ルイーズの子である、ナポレオン二世のベビーベッドが展示されています。
全盛期のナポレオンが強すぎて、ヨーロッパには至る所にナポレオンの影ありなので、ヨーロッパ旅行に行くならとりあえずこの漫画を読んでおければ、どこでも聖地巡礼ができて楽しそうですね。