劇場版の「ベルサイユのばら」を観てきました。
子が産まれてからの久しぶりの映画館、楽しかったです!
ベルばらの話をすると、私は中学生のころ図書館で原作を借りて以来の原作ファン。
宝塚は履修しておらず、昔のアニメはTOKYO MXでたまに再放送をしているので何周か見ています。
ちなみにジュローデル推しです。笑
では、正直感想です。
※ネタバレします。
全体の感想
正直に言って微妙でした…。
端的にいうと、名場面ダイジェスト版MVみたいな感じの映画です。
アニメというよりも、ミュージカル要素が強すぎて初めはこれ最後まで見るのきつかもしれないと感じてしまいました…。
もちろん、10巻に渡る原作を忠実に再現して欲しいとかそこまで望んではいません。でも、劇場三部作か、オスカル編とアントワネット編で分けるとか、もうちょい尺とってもてもよかったのでは?と感じるくらい、中途半端に感じたのです…。
とくにアントワネットの人生が端折られすぎて残念でした。
2時間にぎゅぎゅっとまとめられているので、アントワネットとデュバリー夫人の確執や首飾り事件のネックレスはミュージカルの間にさらっとアニメが流れる程度なので、かなりジェットコースター感がありました。
たぶん、スロットベルサイユのばらのPVの方がストーリーの全体像把握できるぞって思ちゃったよ…。
良かったところ
微妙だったところばかりになってしまったので、良かったところを挙げていきます!
声優陣の演技力と配役が最高
アントワネット役の平野さん、オスカル役の沢城さん。すごかったです…。
本当にずっと同じ人が声当ててる?!と思うくらい、びっくりします。
初めは14歳で登場するアントワネット。お輿入れのシーンはめちゃめちゃ幼い声なのに、月日が経つにつれて王妃としてだんだんと品格のあるお声になって行くんです…!
オスカル役の沢城さんは、「今宵アンドレ・グランディエの妻に…」のシーンがすごくよかったです。オスカル様が緊張していらっしゃるのが伝わってくる…!
どのシーンでもオスカルの微妙な心の動きとか、緊張が伝わってきて感動でした。
作画が綺麗
作画はめちゃめちゃ綺麗で嬉しかったです。
白目に顔面蒼白でのガーン!ってシーンはちょっと令和っぽくアレンジされてて、クスッとした。
ジュローデルがしっかり出てくる
推しなので…。笑
原作でも初回から見切れてたり、モブっぽく描かれてるんですけど、序盤から「いる!!!」と認識できるくらい出てきます。ありがとうございます。
なんでそうなった?と思ったところ
歌唱シーンが多すぎる
まだ歌うの?って思うくらい、歌唱パートが長いです。せめて1番で終わらせてくれれば…。
そして、ミュージカルというよりはMV見てる感じ。
ミュージカルって歌と連動してストーリーが動くわけじゃないですか。私だけかもしれないけど、この映画は歌詞が全然頭に入ってこなくて、ストーリーと歌が連動していかないんですよね…。
そしてめちゃめちゃ個人的には、オスカルが歌うのが違和感があって…。
軍人のオスカルが歌うかな…?と感じました。(宝塚を見たことがあれば違和感はないのかもしれませんが…。)
出演しないキャラが多い
ロザリー、ジャンヌ、ポリニャック伯夫人、マリア・テレジア、デュバリー夫人、メルシー伯など原作でお馴染みの彼らは出てきません。
出演はしているけど、モブのような扱いでメインキャストとの絡みは皆無。
劇場版なので、尺の関係上仕方ない部分はあるのは理解してるんです…。
でも、ロザリーが出ないと、オスカルが平民の暮らしや気持ちを知って理解して行くきっかけにならなくない?と思うのです。
ロザリーが出してくれたスープで、平民の暮らしぶりを目の当たりにするわけじゃないですか。「彼らのことを知らねば!」って本読んで勉強するだけで、貴族のオスカルがフランス革命に参加するまで行くか…?
フランス衛兵隊の体調不良シーンも、アランの身の上話とかはカット。衛兵隊が剣を売ってたのに気づいたのはオスカルではないのはなぜなんだろう…。
オスカルが自分で気づくことで、平民のことを真に理解する重要なシーンなのに…。
そしてロザリーがいないことによって、「私たちはね…夫婦になったのだから…」のシーンも当然カット。あれ欲しかった…。
そのシーン削る?!と感じることが多かった
個人的に削っちゃうの?!と思ったシーンや描写はこちら。
フェルゼン&アンドレへの恋心に気づく描写が薄いor皆無
フェルゼンへの恋心に関してはうっすら描写はあるものの、かなり薄いです。
オスカルがドレス着て舞踏会に行くなんてさ、そうとうな決意なのに、さらっとドレス着ちゃうんかいって思った。
「千の誓いがいるか 万の誓いがほしいか」のシーンがない
これは本当になぜ…なぜカットしたのです…。
これは昔のアニメでもカットされてるんですよね…。
それで…どうしようというのだアンドレ…
必須かと言われると必須ではない気もするけど、この強姦未遂シーンがないと、そもそもオスカルがアンドレの気持ちに気づかない気がするんですよね。ずっと従卒としていてくれてるだけと思われてそう。
このショコラが熱くなかったのを幸いに思え!
このシーンがあってこその、心中を図ろうとするシーンじゃないん…?
ジュローデルがアンドレを意図せず焚き付けるというか、このやりとりがないと、本を読んだくらいで心中を図ろうと思う…?と感じてしまいました。
アントワネットの人生に対する描写が薄い
今回の主役はオスカルとわかっていても、アントワネットの扱いが雑すぎる…!
ただ恋しただけの王妃になってしまっていて、残念だった…。
平野綾さまのお声をもっと聞きたかったよ…。
原作ではカペー未亡人になってからの人生描写もすごく好きなので、エンドロールでさらっと、しかも字幕で説明されて終わらされたのは残念…。アニメの方がまだ丁寧だぞ…と思ってしまった。
王妃となり母となり、カペー未亡人になって…だんだんとアントワネットの人生に厚みがでてくるのに…。
母として息子の地位を守るために決意するシーンとかからのアントワネットの描写も好きなので、母としてのアントワネットの描写がほとんど無かったのも残念だった。
映画を見てよかった!と思ったら原作を読んで欲しい
以上、劇場版「ベルサイユのばら」を見た感想でした。
原作オタクなので、こんなふうに思ってしまうのかもしれませんが、正直な感想です。
映画を見て、作品をよかった!って思ったら、ぜひ原作も読んで欲しいなぁ…。
そして、改めて昔放映されていたアニメの完成度の高さにびっくりしました。ちょっとオスカルがおてんばだったりするんですけど、アニメが作られた年代にも合っててあれはあれで良かった。
あと原作に沿ってオリジナル要素が入ってるのもよかったんですよ。
フランス革命時のタグー大佐との決別とか、マリーアントワネットとの別れ、アンドレを亡くしたオスカルの夜とかもめっちゃいいので、ぜひアニメもご覧ください。笑