オーストリアに行きたい。そう思いながら、子育てに追われる毎日。
最近はもっぱら、オーストリア関連の本や雑誌、ガイドブックばかり読んでいる。
なかなか気軽には行けない状況に鬱々としながら、一つの考えが浮かんだ。
「日本でオーストリア的な暮らしをしたらいいのでは?」
私の大好きな本、マイフィンランドルーティーンの作者、Chikaさんも日本でフィンランド的な生活を取り入れていた。
ベランダでハーブを育てたり、シナモンロールを焼いたり…。
そんなふうに「憧れの国のエッセンス」を日常に混ぜ込む。
それなら、今の私にもできるかもしれない。
そう思って始めた“オーストリア的生活”の第一歩が、コンポストだった。
なぜコンポスト?
たまたま今の関心とぴったり重なった、というのが一番の理由。
単純に「ゴミって少ない方がいいじゃん」という感覚からだった。
でもその裏には、微力ながら環境に優しいことをしたいという気持ちも一応ある。
きっかけは、今年の猛暑だった。
バブが歩けるようになってから初めての夏。
あまりの暑さで、公園に行けない日が続いた。
外に出られないぶん、室内での遊びが増え、当然エネルギーが余る。
昼寝をせず、私のリフレッシュタイムが消え…と、誰も得をしない悪循環に。
太陽の光や風を感じながら過ごす時間が、子どもにとってどれほど大切か。
そして大人にも必要なものなんだと痛感した。
バブや他の子どもたちが「外に行きたい」とぐずるたび、叶えられず胸が痛んだ。
地球温暖化、もう他人事じゃないと実感した夏だった。
それに、我が家のゴミの量にも驚いた。
子どものオムツが、こんなにかさばるとは…。
ゴミを減らそうと意識しても、衛生面を考えるとどうしても使い捨て製品が増えてしまう。
「なんかゴミ減らせないかなー?」と考えてたどり着いたのが、コンポストだった。
家で出た生ごみを堆肥に変えて、ガーデニングに再利用できる。
古くなった土も使えるから、我が家の“ミニ循環”が作れそうだと思った。
東京都では古い土の回収をしていないので、これも助かる。
オーストリアの循環する暮らし
オーストリアに限らず、ヨーロッパの国々はコンポストを導入している国が多い。
フランスで2024年から、家庭でのコンポストが義務化となったというニュースを知ってる人もいるかもしれない。
オーストリアでは?というと、ウィーンでは有機ゴミ(生ごみ)を回収して、コンポスト施設で堆肥にする。
(なんと1991年からコンポスト施設が稼働してるらしい!)
出来上がった堆肥は、農地や市立公園の土壌改良剤として使用したり、ガーデニング会社が仕入れるそう。
しっかり循環している!
私が滞在してたオーストリアのアパートの近所にも、コンポスト用のコンテナが置いてあった。
(流石に写真は撮っていなかった…)
アパートのキッチンには、生ごみは野菜と肉は分けてと注意書きがしてあって、理由がわからず不思議だった。
「堆肥にするためだよ」と教えてくれたルームメイトは、野菜や果物のクズをお皿に並べて乾燥させていた。
水分を飛ばすと分解が早く、匂いも減るらしい。
「日本では生ごみをコンポストにしないの?ヨーロッパは結構多いよ!」と言われて、そもそもコンポストの意味も知らなかった私。
当時はピンとこなかったけど、今になってその言葉をよく思い出す。
そんな私がコンポストに挑戦。
オーストリア的生活の第一歩である。
わが家のコンポスト実践記
コンポストを迎える準備

さて我が家に迎えたコンポスト。
ベランダに置こうと決めて、私が選んだのはバッグ型。
狭いスペースでも置けて、ジッパーがついてるから虫が侵入しない。
なにより、見た目がシンプルでベランダに馴染むのが気に入っている。

コンポストの“正しい始め方”はいろいろあるけれど、私はヨーロッパ式にゆるく。
古い土と生ごみを投入してスタート。
あるものでやるのがヨーロッパ風、たぶん。
あとは時々、納豆やヨーグルトをすすいだ水をかけて、微生物を活発にしているだけ。
それでもちゃんと機能している。
ゆるく続けるコツ

野菜や果物の皮、ヘタなどを入れるだけ。
肉や魚、残飯は虫が湧く原因になるので入れない。
玉ねぎや柑橘類の皮は分解しづらいので入れない。
料理しながらザルにためて、キッチンバサミで刻んで投入。
(ちなみに無印良品のキッチンバサミ、切れ味抜群でおすすめ。)
生ごみを埋めたら、軽く土をかける。 かき混ぜるのは1日1回くらい。
忘れる日もあるけど、なんとかなる。
使い始めて2ヶ月。
嫌な匂いはなく、ほんのり“濃い土の香り”がする。
土がかすかに温かい日もある。
土が発酵しているのだと思うと、なんだか生き物をお世話しているようで、愛着がわく。
自然体で続ける、オーストリア的循環生活
完璧なエコとか無理だし、たぶん一生ゆるくしかできないけど。
ベランダで土を混ぜてる時間、けっこう好き。
生ごみが減って、ちょっといいことした気分になる。
いま、オーストリア生活っぽいことしてるって思える循環型生活、悪くない!

